私の老後資金、答え合わせ 2026年夏

備えとこれから

夏がやってきました。若い頃のように、どこかへ遠出したくてウズウズする夏ではなくなりましたが、冷たい麦茶を片手に、縁側でぼんやりする夏の夕暮れも、これはこれで悪くないものです。

そんなある晩、ふと考えてしまったのです。「私の老後のお金って、実際のところ、どうなんだろう?」と。一時期、老後2,000万円問題も話題になりましたよね。考えはじめると、なんだか胸のあたりがそわそわして、その夜はなかなか寝つけませんでした。

不安というものは、正体が見えないから怖いのだと思います。見えないぶんだけ、頭の中でどんどん大きく育ってしまう。それなら、いっそ数字にして、目に見えるところへ引っぱり出してしまおう。そうして老後のお金と、少しずつ仲良くなる練習をしてみよう——。そう思って始めるのが、この連載です。

タイトルは「私の老後資金、答え合わせ」。季節ごとに一度、私の理想と現実をそっと照らし合わせて、その時々の気持ちを書き留めていきます。あくまで、私自身の答え合わせで、正解は人によって違います。皆さんもご自身の数字で答え合わせをしてみてくださいね。

はじめに、正直なお約束

先にお伝えしておきますね。この連載では、家計のすべてはお見せしていません。

お見せするのは、私が持っている株式資産と、そこから生まれる「配当」、そして「私の年金」だけです。パートナーの資産や、手元の現金には触れません。理由はかんたんで、パートナーのぶんはパートナーのものですし、なにより私が見つめてみたいのは、「自分の力で、自分の老後を、どこまでまかなえるのか」という、その一点だからです。

株の銘柄名も、ここには書きません。ただ「日本の高配当と株主優待の株を、数銘柄」とだけ。どれが良い・悪いというお話もありません。老後資金にのみフォーカスを当てて、季節ごとに眺めていきます。

想定するのは、「ひとりになった私」

我が家には、なんとなくの役割分担があって、日々の生活費はパートナーが担当してくれています。ありがたいことです。

でも、人生には「もしも」があります。順番どおりにいくとは限らないし、誰にとっても、最後はひとりになる可能性がある。もし私がひとりになったら、住まいのことも、日々の暮らしも、全部を自分で背負うことになります。

だからこの連載では、いちばん厳しい想定で答え合わせをすることにしました。——ひとりになった私は、自分の年金と配当だけで、暮らしていけるのか。ここで「足りる」と言えるなら、どんな未来が来ても、たぶん大丈夫。そういう物差しです。

私は現在52歳ですが、今後あくせく働かない、という固めの前提で見積もると、私が65歳から受け取る年金は、年に128万円ほどの見込みです(基礎年金73万円+厚生年金55万円)。60歳までしっかり働けば年金はもう少し増えると思いますが、入ってくるお金は少なめに見積もるのが安全です。

ただしこの128万円は、いわば「額面」。ここから健康保険料や介護保険料、税金が引かれます。ざっくり1割と見て、手取りはおよそ115万円、月にすると9.6万円ほど——と、私は見積もっています。

ひとり暮らしの老後は、月いくらかかる?

次は、出ていくほうのお金です。ひとりになった私の暮らしを想像しながら、積み上げてみました。住まいは、持ち家のマンション想定です。住宅ローンはあと10年程度で完済できそうなので、老後の私の住居費としては、マンションの管理費や修繕積立金などがいちばん大きな支出となりそうです。

住居費(管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険)6万円
通信費・光熱費・食費・日用品4万円
医療や介護への備え3万円
リフォームや突然の出費への備え2万円
ゆとり(服飾費・交際費もここから)3万円
合計(手取りで)月18万円(年216万円)

白状すると、最初の見積もりでは固定資産税と火災保険をすっかり忘れていました。持ち家は「買って終わり」ではないのですよね。マンションの管理費や修繕積立金も、今より上がっている前提で多めに見ています。

ちなみに総務省の家計調査(17ページ目)によれば、65歳以上のひとり暮らし・無職世帯の生活費は月およそ15万円。いっぽう手取りの収入は約12万円で、平均でも毎月3万円ほどの赤字なのだそうです(2024年)。おひとりさまの老後は、世間の平均でも「足りていない」——この事実には、ちょっと背筋が伸びました。

私の月18万円は、その平均より少し多めです。医療・介護やリフォームへの「備え」と、ささやかな「ゆとり」を上乗せした、いわば私の暮らしの値段。切り詰めた最低ラインではなく、私らしく穏やかに暮らせるライン、として設定しました。

でも、何が起こるか分からないのが人生です。もし今とは環境が変わったら一旦リセットして金額設定を見直し、より現実的な数字で見ていきたいと思います。

今期の数字(2026年 夏)

それでは、記念すべき第一回の数字です。この連載で見つめていくのは、私が持っている株式資産。2026年6月末で、およそ1,040万円ほどです。10年前から少しずつコツコツと買い進め、相場の好調さに助けられて、資産を育てることができました。

私の株式資産(2026年6月末)約1,040万円
この株が一年で生む配当(税引き後)約27万円(利回りにして2.6%ほど)
私の年金(65歳から・手取り見込み)年約115万円
ひとり暮らしの想定予算月18万円(年216万円)

うれしいことに、この株たちが一年で運んでくれる配当は、税金が引かれたあとの手取りで、およそ27万円。今年もすでに前半で13.6万円ほどが振り込まれていて、まずは順調です。

株価そのものは、上がったり下がったり、なかなかに気まぐれです。でも、私が見ていたいのは、そこではありません。株価が多少ふらついても、配当という「果実」は、季節がくればちゃんと実ってくれる。その静かな働きぶりを、これから見守っていきたいのです。

初回なので、今回は前回との比較はありませんが、この約1,040万円と、年27万円の配当が、これからの答え合わせの「スタート地点」です。次の季節からは、ここがどう動いたのかを、一緒に眺めていきますね。

老後資金の答え合わせ

さて、ここからが本番です。問いは、とてもシンプル。

——ひとりになった私は、年金と配当だけで、月18万円の暮らしをまかなえるでしょうか。

年金が手取りで年115万円、株の配当が年27万円。合わせて、年142万円。月にならすと、約11.8万円です。いっぽう、私の想定予算は月18万円。

……足りませんでした。月に6万円あまり、年にすると74万円ほどの不足です。

正直に書きます。並べる前は「案外いけるのでは」と、どこかで思っていました。でも数字は正直です。今のままの私では、ひとりの老後に、月6万円届かない。それが、2026年夏のスタート地点です。

今期のお天気判定は

今回の判定は、☔ 雨。

初回から雨のスタートです。でも、不思議と暗い気持ちにはなっていません。理由は3つあります。

ひとつ。私はまだ52歳で、年金までは13年あります。60歳まで働けば年金は増えますし、この「月6万円の穴」は、これからの働き方しだいで小さくできる。

ふたつ。配当という果実は、まだ育てられます。もし「買い時」がきたら少しずつ買い足すかもしれません。10年かけて年27万円まで育ったこの果実が、これからどこまでふくらむのか。それを見届けるのが、この連載の楽しみのひとつです。

みっつ。「足りない」が数字で見えたことで、漠然とした不安が「月6万円」という具体的な宿題に変わりました。正体の見えないお化けより、大きさの分かった宿題のほうが、ずっと付き合いやすいのです。

雨は、いつか上がるもの。この連載の空模様が、☔から⛅へ、そしていつか☀️へ変わっていくのか。それを季節ごとに確かめていきます。

数字にしてみて、気づいたこと

正直に言うと、自分のお金を数字にして並べるのは、少し怖いことでした。見なければ、なかったことにしておける。けれど、見えない不安ほど、夜になると大きく育つのです。

思いきって並べてみて、いちばん意外だったのは、「足りない」と分かったのに、心が少し軽くなったことでした。眠れなかったあの夜の不安には、大きさがありませんでした。今の不安には「月6万円」という大きさがある。大きさが分かれば、対策も立てられます。

そしてもうひとつ、心に残ったのは「配当」という存在です。私が眠っている間も、旅に出ている間も、持っている株たちは黙々と働いて、一年に27万円という果実を運んできてくれる。月6万円の不足を前にして、この果実の頼もしさが、いっそう身に沁みました。私が老後を迎えるまでの間に、この果実がさらにふくらんでくれることを楽しみに過ごしたいと思っています。

老後のお金の答え合わせとは、「いくら持っているか」を数えることではないのだな、と気づきました。「入ってくるお金だけで、どこまで穏やかに暮らせるか」——その工夫と手ざわりを、確かめることなのだ、と。

抗うのでも、あきらめるのでもなく、ただ「知って、仲良くなる」。足りない分まで含めて、これが今の私の等身大です。次の季節、この果実がどれだけ実っているのか。こわいような、でもちょっと楽しみなような。そんな気持ちで、私は秋を待っています。

おわりに

季節ごとに、こうして答え合わせを続けていきます。次回は、2026年の秋に。よろしければ、また一緒に数字を眺めてくださいね。

※この連載は、私個人の記録と感想です。年金や税・保険料の金額は私自身のざっくりした見積もりで、実際は人によって異なります。特定の商品や投資方法をおすすめするものではありません。投資はご自身の判断でお願いしますね。

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