夏号で「冷たい麦茶を片手に」と書いたのが、ついこの間のことのようです。朝晩の風がすっかりひんやりしてきて、手に取る飲み物も、いつの間にか温かい緑茶に変わりました。
この3か月、私の株たちは、なかなかに騒がしい季節を過ごしていました。8月にぐんと値上がりしたかと思えば、9月にはその半分ほどが戻ってしまう。画面を開くたびに、数字が大きく揺れていました。
さて、そんな秋の答え合わせです。
前回のおさらい
この連載では、季節ごとに一度、私の老後のお金を答え合わせしています。
物差しは、いちばん厳しい想定です。もし私がひとりになったら、自分の年金と株の配当だけで、月18万円の暮らしをまかなえるか。お見せするのは、私の株式資産と、そこから生まれる配当、そして私の年金だけ。株の銘柄名も書きません。
初回の夏は、月に6万円あまり足りない「雨」のスタートでした。くわしくは、こちらに書いています。
今期の数字(2026年 秋)
それでは、9月末の数字です。
| 夏(6月末) | 秋(9月末) | 動き | |
|---|---|---|---|
| 私の株式資産 | 約1,040万円 | 約1,110万円 | 約70万円アップ |
| この株が一年で生む配当(税引き後) | 約27万円 | 約27万円 | ほぼ変わらず |
| 利回り | 2.6%ほど | 2.5%ほど | 少し下がる |
| 今年受け取った配当(税引き後) | 約13.6万円(1〜6月) | 約22.5万円(1〜9月) | この3か月で約9万円 |
株式資産は、夏より70万円ほど増えました。買い足しはしていませんから、これはそのまま、株価が上がった分です。8月の大きな値上がりの半分ほどが9月に戻ってしまってもなお、夏よりは高いところにいる、という結果です。9月で大きく下がったので少し憂鬱でしたが、3か月前と比べるとしっかり資産が育っていることが分かり、安心しました。定期的に比較するのって大事ですね。
いっぽうで、この株たちが一年で運んでくれる配当は、夏とほとんど同じ、約27万円のままです。
利回りが2.6%から2.5%に下がっているのは、配当の額は同じまま、株価のほうが上がったためです。果実が減ったわけではありません。
老後資金の答え合わせ
年金は、65歳から受け取る見込みの額に変わりはなく、手取りで年に約115万円。株の配当が年に約27万円。合わせて年142万円、月にならすと約11.8万円です。私が思い描く老後の暮らしは、月18万円ですから——
……夏と同じく、月に6万円あまり、年にして74万円ほどが足りません。
ここで、ちょっと悩んでしまいました。
株式資産は3か月で70万円も増えたのに、老後の答えは、1円も動いていないのです。今株を売れば増えた分を享受できますが、配当という果実はまた育て直しになります。ここは売らずにぐっとこらえるのが、私にとっては正解に思えました。
今期のお天気判定は
今回の判定も、☔ 雨。
ふた季節続けての雨です。けれど、夏の雨と今回の雨とでは、少し見え方が違いました。
この連載が見ているのは、資産の大きさではなく、そこから毎年実る「果実」の量です。だから、株価がどれだけ上がっても、果実の量が同じなら、答えは変わらない。逆に言えば、株価がどれだけ下がっても、果実が実り続けるかぎり、答えはそう大きくは崩れないはずです。
8月の大きな値上がりに、私も正直、心が浮き立ちました。そんな私に、この物差しは静かに首を振ってくれた——そんな気がしています。夏に決めたこの物差しで、よかったのだと思います。
果実の使いみち
配当が振り込まれた通知を見ると、やっぱり、うれしいものです。そして、うれしくなると、つい考えてしまうのです。——さて、どこへ出かけようかしら、と。
この秋、私は京都へ小さな旅に出かけました。坂本龍馬のお墓がある霊山(りょうぜん)の坂をのぼり、お墓の前から京都の街を見下ろして、向かいの霊山歴史館で幕末の人たちゆかりの品々を眺めてきました。子どもの頃、歴史はいちばん苦手な教科だったはずなのに、近ごろは妙に面白いのです。このことは、また別のお話で書いてみたいと思います。
ただ、旅から帰って、ふと思いました。老後は月6万円も足りないというのに、配当で旅行なんてしていていいのだろうか、と。
考えてみて、たどり着いた答えは、こうでした。
老後も大切。でも、今も大切にしたい。
果実をすべて蔵にしまい込んでしまえば、老後は安心かもしれません。でもそのかわり、今の暮らしが少し痩せてしまう。そして値上がりした株を手放して今の暮らしを充実させると、老後に果実を得られなくなります。
配当という果実は、いただいてしまっても木は残ります。株を手放さないかぎり、次の季節にはまた実ってくれる。もちろん、企業の調子しだいで実りが少ない年もあるのでしょうけれど、少なくとも、果実をひとつ味わったからといって、木が枯れるわけではありません。
だから、全部ではなく、少しだけ、今いただく。それが私にとっての、今と将来のちょうどいいバランスなのだと思います。
そう考えると、この連載でしている答え合わせも、「老後のために、今をどこまで我慢するか」を測るものではないのですね。「今を楽しみながら、老後にどこまで手が届くか」を確かめるもの。夏にはまだ言葉にできていなかったことが、秋になって、少しだけ見えてきました。
おわりに
ふた季節続けての雨。それでも、この秋の答え合わせは、夏よりずっと落ち着いた気持ちで書くことができました。数字が揺れても、物差しは揺れない。そのことが分かったからかもしれません。
次は、冬に。年金を何歳から受け取るか、ということも、比較しはじめてみたいと思っています。よろしければ、また一緒に数字を眺めてみてくださいね。皆さんの老後の暮らしに参考になれば幸いです。
※この連載は、私個人の記録と感想です。年金や税・保険料の金額は私自身のざっくりした見積もりで、実際は人によって異なります。特定の商品や投資方法をおすすめするものではありません。投資はご自身の判断でお願いしますね。

